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おなかの薬


【乳酸菌・ビフィズス菌】
乳酸菌は、人類の歴史と共に非常に古くから我々の生活の中に生き続けてきました。
醗酵食品を始め、漬物、酒の製造などに使われてきた有用菌です。特に乳に繁殖する乳酸菌の利用は数千年前も昔から経験的に行われてきました。乳酸菌はエネ ルギー源として糖を分解して、これから乳酸を作るつまり乳酸醗酵を行う菌の総称です。ビフィズス菌も乳酸菌の一種です。
医薬品の中にも、いわゆる整腸剤と呼ばれる乳酸菌があります。乳酸菌製剤には乳酸菌ばかりではなく、ビフィズス菌、フェカーリス菌、酪酸菌(宮入菌)もあ り、また、抗生物質に対する耐性を付与した製剤もあります。これらは病原性菌の感染や抗生物質・化学療法剤投与により乱れた腸内細菌叢を正常に戻す働きが ある他、腸内で乳酸、酢酸、酪酸などの有機酸を産生し、腸内を弱酸性に保ち、有害菌の増殖を抑制するため、有害菌が産生する毒素や腸管内容物が醗酵して生 ずるアンモニア、硫化水素、フェノール、アミン類を減少させます。

乳酸菌の働きとして他に以'ドのような作用があると言われています。
1.栄養の強化
A.ビタミンの産生(ビタミンB1,B2,B6,B12、ニコチン酸、葉酸など)
B.乳タンパク質の消化不良
C.乳糖の消化促進


2.生体に対する作用
A.腸内細菌叢の改善
B.便秘の改善
C.免疫賦活作用

腸内の多数の微生物には悪玉菌と善玉菌があり、腸内の微生物群の種類と量は年齢によって変化します。授乳中は善玉菌であるビフイドバクテリウムが最優勢 ですが、離乳期になると成人のパターンとほぼ同様になります。老年期に近づくとビフィドバクテリウムが減少すると共に大腸菌が増加し、若い時は少数であっ た悪玉菌である腐敗菌のウエルシュ菌も増加します。病気を引き起こしたり、老化を早める原因ともなる悪玉菌の増殖を食い止め、腸の中を健やかに保つ善玉菌 の代表の一つがビフィズス菌です。
近年、乳酸菌やビフィズス菌を用いた飲料やヨーグルトが多数販売されています。摂取されたビフィズス菌は、増殖、死滅を繰り返しながら約一週問で排泄さ れます。この問に人の健康に好影響を与えます。一度飲めば永久に腸内で繁殖してくれるのではないので、毎日摂取することが望ましいと言えます。


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